10.「初めての火葬車」Ⅲ

私がこの手で炉の扉を開けたのだから、最期にそれを閉めるのも又、私の役目であるような気がした。鉄の重みを感じながら扉を押し閉める私の手は、自分でも抑えきれないほど激しく震えていた。周囲の静寂を破るように、耳の奥では蝉たちの鳴き声が、うるさく鳴り響いていた。何故「大阪 ペット火葬 愛犬の火葬
」等というネットの検索。言葉で選んだお別れの方
法に後悔のようなものも頭をよぎり、他にとるべき道も思いつかない。ただ、空へと溶けてく薄グレーの煙を、どこかフワフワとした感覚のまま目で追い続けていた。人も、こんな
にも、愛おしい犬も、最後は見送る人の同じ深い想いに包まれるのだと、あの日初めて知っ
た。
そして「火葬車」での儀式を行い思った事は、本当に最後の最後まであの子を大切にする
事ができた。良いお見送りができた・・・そう感じたのは確かな記憶として残っている。
愛するあの子は、私の笑顔が大好きだった。だからこそ、いつまでも悲しみ続けるより、また笑ってほしいと願っているのではないか。そう思えるようになったのです。
そして初めて、自分の悲しみを隠すことなく、「こんなにも大切な存在を失って、本当に苦しい」と人に話すことができました。声をあげて泣き、涙が枯れるまで泣き続けました。その涙は決して弱さではなく、愛した証だったのだと気づいたのです。
つづく

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