7.「十戒」の陰で、あの子を想う

「犬の十戒」の言葉に抱かれ、私はあふれる涙とともに後悔の底へと沈んでいった。だが、徹底的に自分を責め抜いたからだろうか・・・悲しいと泣いたからだろうか・・・長く私を縛っていた「うつ」という霧が、少しずつ晴れていくのを感じていた。
月日は流れ、日常が戻ってくる。けれど、あの子を思い出さない時間が増えるたび、冷たい自分に胸が痛む。そんな時、私は記憶の扉をこじあけ、あの日の光景を呼び戻す心の儀式を行った。
家の前に停まった火葬車。震える両手で、あの子を小さな炉へ横たえた瞬間。まるで悪魔になったかのような自分の姿を反芻しながら、私はあの悲しみを必死で引き留めようとしている。忘れることへの恐れと、悼み続けたいという願いが交差する、とても不思議な感覚を感じていた。しかしその感覚も他のペットへの愛情まで塞ぎ止めてしまってはいないだろうか。罪悪感に心を閉ざすことは、目の前にいる大切な存在から目を背けることではないか愛情の遮断にしてはならない。悲しいこの思いを捨てるのではない、忘れるのでもない・・。そう思い始めた時に「虹の橋」の詩を受け入れ、心の支えになりだした・・・時間がゆっくりと前進し始めたのです。
火葬車のあの扉を閉めた私の手は、この世界から旅立ちの為、あの子を新しい世界へ送るため・・・そう思い始めた。
『いつかまた、あの陽だまりの場所で巡り会える』その言葉は、硬く閉ざされていた私の心に静かに染み込んでいった。声をあげて泣き、涙が枯れるまで泣き続けたその涙は決して弱さではなく、愛した証だったのだと気づいたのです。
つづく

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