5. おそすぎた「犬の十戒」

ワンちゃんの視点から、飼い主へ向けて切実に綴られた「犬の十戒」。あの10のお願いに、あなたと出会う前に触れてさえいれば・・・。
「私にはあなたしかいないのです」
「最後のその時まで、一緒にいてください」
あの言葉たちが最初から私の心にあれば、もっとあなたの寂しさに気づけたはずだった。もっと、もっと、優しい手を差し伸べられたはずだった。

けれど、現実はあまりにも残酷で、私の無知があなたを少しだけ孤独にさせてしまったのかもしれない。

あなたが静かに息を引き取り、私の世界から光が消えた。
残された私は、ただ泣き崩れることしかできなかった。そんな絶望の底で、旅立った愛犬たちが光あふれる草原で飼い主を待っているという「虹の橋」の詩に、巡り合った。

「いつかまた、あなたに会える」
その優しい言葉に救いを求め、あなたの足跡を追いかけるようにして、私はのちに「犬の十戒」の存在を知ったのだ。

その瞬間、崩れ落ちるような後悔が押し寄せた。

「逆であれば……どんなによかったか……」

なぜ、あなたを見送った後だったのだろう。なぜ、あなたがまだ私の目の前で、不器用にしっぽを振って笑ってくれていたあの時に、この言葉たちに出会えなかったのだろう。

悔やんでも、悔やんでも、過去は変えられない。
「ごめんね」とどれだけ涙を流して呟いても、あの柔らかい毛並みをもう一度抱きしめることは叶わない。

知らなかったという取り返しのつかない事実と、もっと愛せたはずだという鋭い反省。それらは消えない棘となって、暫くは私を苦しめた。

可愛い子を見送った方はどんなに尽くしていても、精一杯愛する事ができていたとしてもこれで十分だったとは思えません。ああしてやれば良かった、あの時にあんなに怒らなければ良かった、あの時、不調にもっと早く気づいてやればよかった・・・・そんな後悔ばかりだと思います。 

つづく

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