4.記憶のそこのちいさな棘 ~ペットへの懺悔~

頭の隅にはいつもこの詩が存在していたのは確かな事ですが、正直、当時の私がこの詩を心に支えにできたのはずっと後の事です。あの子のいない世界で、どう息をしていいのかさえ分からない。出口の破片すら見えない暗闇の中で、私だけの時間が静かに止まってしまったかのようでした。
「虹の橋」が本当に存在するのか、その答えを知る人はいません。しかし、この物語が世界中でこれほどまでに愛され続けている理由は、亡くなったペットちゃん(家族の一員)への愛情と、「いつかまた会える」という希望を与えてくれるからなのでしょう。
決して押し付けるつもりはありません。今深い悲しみの中にいるあなたでしたら、少しでも笑顔を取り戻して欲しいのです。先にも述べましたように後日には
「今は元気な姿で、いつか私を待っていてくれる。」
その一節は、絶望の中に小さな光を灯してくれたのも確かですが、
私はその前に後悔を 繰り返し、胸を突くような苦い思いをしてやっと「虹の橋」の詩を受け入れられたのです。この詩はワンちゃんを見送った後に世界中で読まれ、心の支えにされる方が多いですが、家族として迎え入れた時、ワンちゃんの視点から飼い主に向けられた10のお願いを綴った詩が(作者不詳)あります。
私は不幸にも人生で初めて家族として迎えた子との出会いの時に「犬の十戒」には出会わず、火葬後見送った後に「虹の橋」の詩を知り、その後に「犬の十戒」を知るという不運で、後悔や反省が、棘のように刺さって抜けない記憶が、時折ひっそりと胸を刺しました。逆であればどんなによかったかと・・・
「犬の十戒」に出会ってから私の胸の奥には、一本の細い棘が刺さったままでした。普段は記憶の底に隠れているくせに、ふとした静寂のなかで、思い出したようにチクリと胸を刺す。そのたびに、涙が視界を滲ませていく。
まだ何も知らなかった。初めてあなたを家族として家に迎えたあの日の、温かいぬくもり。あなたが、どれほど一途に私だけを見つめていたか、当時の私は本当の意味で理解していけていなかった。
もしも、時間を巻き戻せるのなら・・・・。

つづく

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