54.「ペットロス」~ペットの最期に、私たちができること~
獣医は首をかしげながらぽつりと、「頑張ってくれているネ・・・。」と
もうできる事はほとんどない。点滴を打つ毎日
これで間違いはないのだろうか・・・?
この子を苦しめているだけではないのだろうか?
「生きたいんですね」
「もう少し私と暮らしたいんですね。」
「頑張ってくれているんだ」
何度も自分に言い聞かせ、この子の命と向き合っていた。
何度も発作を起こす。それでもトロンとした目で私を見つめる。
獣医と話している電話のやり取りを聞き、大きく目を見開いた。
「病院はもう嫌だ!注射は嫌だ!」と言っているのか・・・。
一時間でも長く生きてほしいと願うのは私のエゴなのか・・・。
数週間続く病院通い・・・
そして最後の日、病院の玄関に着くと、私の頬をペロッと舐めて、
深~く息を吸い込み
「ほっ!」と何かを手放すような吐息を吐き、
私の腕の中で静かに目を閉じた。
旅立ち特有の悲しみに全身が包まれた。
腕の中の子の体重が急に軽く、そして小さくなったようで、
私はもう一度車に引き返した。
何度も何度も「ごめん」を言い続けた。
さっきまでそこに確かにあったはずの命が、もう戻らない。
今も淋しさが追いかけてきてつきまとう。
もっと何かできたのではないか。 あれでよかったのだろうか。
苦しい思いをさせてしまったのではないだろうか。
あのときの光景がよみがえり、胸が締めつけられることもある。
それでも、今は思う。
最期の時、朦朧とした意識の中、
頬を舐めてくれたのは「ありがとう」
だったのだと思っている。
あの日、何度も繰り返した「ごめんね」を、
いつか少しずつ、「ありがとう」に変えていきたい。

